Online eBook Library
著者:Katherine Dolbec and Joe Ravera
翻訳:加藤千紘(藤田医科大学病院 救急総合内科)
監訳:渡瀬剛人(藤田医科大学病院 救急医学・総合内科学講座)
 
概要
肩鎖関節離開はありふれた損傷であり,典型的には患側の肩をついて転倒した際に生じる.損傷の重症度は,断裂した靱帯の数とそれが完全断裂か部分的断裂かによって決まる.軽度の損傷(I型およびII型)では,明らかな変形は通常見られず,触診により圧痛が認められるはずである.肩関節脱臼の可能性だけでなく,合併する鎖骨,肩甲骨,上腕骨の骨折を除外するために,X線写真をオーダーするべきである.損傷の程度にかかわらず,患者には三角巾を使い,なるべく早期に軽い関節可動域運動を開始するように指示すべきである.よりグレードの高い損傷(グレード3以上)では,外科的固定の可能性があるため,より早急な整形外科への紹介が必要である.
 
キーワード
AC分離
肩鎖(AC)関節
肩鎖靱帯
肩鎖関節離開
烏口鎖骨靱帯
早期関節可動域
非手術療法
肩鎖関節痛
理学療法
偽脱臼
外れた肩〔訳注:原著で「separated shoulder」「shoulder separation」と記載があるが,医学用語ではなく肩鎖関節損傷のことを一般的にこうよび日本語では相当する用語がない.肩関節脱臼とは異なることに注意〕
肩部損傷
肩の外れ
三角巾(スリング)
外科的固定術
外科的修復術
圧痛のある肩鎖関節
I型肩鎖関節損傷
II型肩鎖関節損傷
III型肩鎖関節離開
超音波ガイド下鎮痛注射

臨床像  
    腕を内転させた状態で肩の外側に直接打撃を受けた場合や,肩の外側から転倒した後,患者は腕を動かすと痛みが強くなると訴える(95.1A).間接的な受傷機転としては,腕を伸ばした状態での転倒や後ろ向きに肘から転倒することによるものが一般的である(図95.1B).通常,患者は痛みの部位が肩鎖関節であることを自身で特定することができる.
     
    視診で,変形が見られない場合(I型),肩峰と鎖骨遠位端との間にわずかな段差が見られる場合(II型,図95.3),肩峰に対して鎖骨遠位端が明らかに上方に変位している場合(III型,図95.2,図95.4)がある.
     
    腫脹,擦過傷,打撲等の所見が見られることがあり,肩上部に認められれば直接的な受傷起点が示唆され,肘や前腕に認められれば間接的な受傷機転が示唆される.肩鎖関節は表在性で触診しやすく,触診で圧痛を認める.
     
    I型やII型の肩鎖関節捻挫の患者は,多くの場合,痛みのために受診する.III型損傷の患者では,疼痛の有無にかかわらず,おそらく変形が認められるだろう(図95.4).受傷患者の男女比は5対1である.
    閲覧にはご購入・ログインが必要となります。

    ご購入はこちら
    ログインする