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著者:Evie Marcolini and Matthew S. Siket
翻訳:水谷裕之(名古屋掖済会病院 救急科)
監訳:渡瀬剛人(藤田医科大学病院 救急医学・総合内科学講座)
 
概要
熱中症の認識と初期管理について,重症度の低い熱中症に注意しつつ,重症度の高い熱中症について説明する.
 
キーワード
意識障害
労作性熱中症
熱痙攣
熱浮腫
熱疲労
熱中症
前失神
汗疹
熱射病
熱失神
高体温
汗疹
軽い熱中症
非労作性の熱中症
正常な意識
冷却療法

臨床像  
    熱中症は,高温環境へ曝露されたことにより身体の正常な体温調節機構が機能しなくなることで生じる一連の疾患群である.熱中症の多くは軽症であるが,熱射病,悪性症候群,セロトニン症候群に伴う重度の高体温は,生命を脅かす重篤な病態であり,見逃してはならない.
     
    熱中症の比較的軽症なものには,熱失神(または前失神),熱痙攣等がある.通常これらの病態は,自身では回避できない状況で高温多湿の環境に長時間曝された患者にみられる.
     
    熱失神は,高温環境への曝露に関連した体位性の失神または前失神である.
     
    熱痙攣は,高温環境で激しく運動した後(多くは数時間後)に腓腹部,大腿部,肩等に発生する,痛みを伴う筋痙攣である.
     
    熱疲労は,やや重篤な熱中症であるが,水分補給と冷却で容易に改善する.高齢者(高温多湿の日にエアコンを使用しない),肉体労働者,スポーツ選手(暑い気候の中,十分な水分摂取をせず体を酷使する)は,起立性低血圧や痛みを伴う筋痙攣に加え,疲労や脱力,ふらつき,頭痛,悪心,嘔吐といった症状が強く現れることがある.
     
    患者は平熱である場合もあれば(ただし,多くは38℃以上),体温が40℃まで上昇し,頻脈や脱水症状,しばしば(特に労作時に)多量の発汗を伴う場合がある.精神状態は正常である
     
    熱中症のもう1つの軽症な病態は熱浮腫で,これは高齢者に発生し,極度の暑さに反応して足や足首が腫れる.汗疹は,高温多湿の気候下でよく見られるもので,汗腺が詰まることによって生じる小さな,赤い,かゆみのある丘疹を呈する.
     
    熱射病のような重度の熱中症は,高体温(40.5℃を超える体温)に伴う精神状態の変容が特徴である.悪性症候群やセロトニン症候群は,典型的な熱中症には分類されないが,重度の高体温と精神状態の変容を伴い,熱射病と誤診されやすい.
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