Online eBook Library

Part 9 > 第97章 輪状靱帯変位,橈骨頭亜脱臼(ナースメイド肘,肘内障)

著者:Katherine Dolbec and Joe Ravera
翻訳:池田貴夫(藤田医科大学病院 救急医学・総合内科学講座)
監訳:渡瀬剛人(藤田医科大学病院 救急医学・総合内科学講座)
 
概要
輪状靱帯変位または橈骨頭亜脱臼(ナースメイド肘)は,通常は腕を引っ張ることによって起こる.一般的には階段を上がったり,道路を横断するときに起こりやすい.通常,腕は体に対して屈曲した位置で保持される.明確なメカニズムがあれば,ルーチンのX線撮影は必要ない.ただし,骨折が疑われる高エネルギーなメカニズム(例:高所からの落下)や肘の腫脹がある場合は,整復前にX線撮影を行うべきである.整復は肘関節の過回内か過回外に屈曲を加えることで行うことができる.一方の方法が失敗した場合,もう一方の方法が成功することがある.通常,整復が成功すると,クリック音とともに肘関節が元通り動くようになる.整復が失敗した場合は,X線撮影で骨折を除外することを検討する.複数回整復に失敗し,X線写真でも骨折を認めない場合は,短期間の三角巾や固定,整形外科への紹介が必要になることがある.
 
キーワード
ALD
輪状靱帯変位
完全回復
握手操作
過回内操作
ナースメイド肘
偽麻痺
肘抜き
橈骨頭亜脱臼
橈骨上腕関節
整復技術
RHS
自己整復
回外と屈曲

臨床像  
    1~4歳の小児が,急に腕を動かされた後から,上肢の痛みを訴え動かすことを嫌がるようになる.傷害を起こした状況は明らかな場合がある(水たまりに足を踏み入れないように親が児の腕を引いたり,道路に飛び出そうとした児を腕で引いたり,遊んでいる最中に児が前腕を持って振り回されたりする).その一方で,傷害のメカニズムが不明瞭な場合もある(不誠実なベビーシッターが児が「今転んだ」と報告する場合等).患者や家族は,傷害の部位を正確に特定できず,児が肩や手首を負傷したと考える場合がある.安静時は痛みが少なく,肘の軽度の屈曲と前腕の回内をした状態で,腕を側面でじっと固定している(偽麻痺).腕の変形,握雪感,腫れ,変色はない.腕橈関節以外には圧痛もない.しかし,児は少しでも肘を動かすと泣き出す(特に回外をすると痛がる).ほとんどの保護者は右利きであり,児の左手を握るため,左腕に発生しやすい.
    閲覧にはご購入・ログインが必要となります。

    ご購入はこちら
    ログインする