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著者:Evie Marcolini and Matthew S. Siket
翻訳:森岡慎也(名古屋掖済会病院 救急科)
監訳:渡瀬剛人(藤田医科大学病院 救急医学・総合内科学講座)
 
概要
成人および小児における軽度の頭部外傷の急性期管理および評価について,より重篤な外傷の可能性を示唆する危険因子,徴候,症状に着目してレビューする.
 
キーワード
認知的休息
脳震盪
グラスゴーコーマスケール(Glasgow Coma Scale:GCS)
頭部打撲
頭蓋内出血
外傷性脳損傷(TBI: Traumatic Brain Injury)
重症外傷性脳損傷
軽症外傷性脳損傷
軽度の頭部外傷
軽微な頭部外傷
単純頭部CT(non-contrast head computed tomography:NCHCT)
非偶発性外傷
小児頭部CTルール
脳震盪後症候群
セカンドインパクト症候群

臨床像  
    立位の状態から転倒し,頭部打撲を受傷した患者が受診する.意識消失はなかったが,後頭部に小さな裂創と周辺の腫脹を認め,周囲の人には「ガチョウの卵」様に見える.患者は鈍い頭痛と一過性の嘔気および眠気を訴える.痙攣,嘔吐,健忘,意識障害はなく,診察にて神経学的局在徴候は認められない.
     
    頭部外傷は,救急外来を受診する成人および小児患者の主訴として非常に多く,米国では年間150万件以上の受診があり,その大部分は軽度の外傷によるものである.
     
    軽度(trivial)または軽微(minimal)な頭部外傷は,軽い鈍器(小さな棒等)によるわずかな衝撃が加わった後,または頭蓋冠が硬い表面(たんすの下面等)にぶつかったときに発生する.前額部および後頭部が受傷好発部位である.
     
    軽症(minor)の頭部外傷は,自動車事故,スポーツ関連の外傷,暴行の際によくみられる.通常,より強い衝撃が加わり,患者は脳震盪の徴候またはその特徴的な症状(意識消失を伴うまたは伴わない逆行性健忘,めまい,吐き気,「ぼうっとした」あるいは「ぼんやりした」感覚,周囲の認識の低下)を発症することがある.その後数日間にわたり,患者は易刺激性,光/騒音に対する過敏性,睡眠障害を呈することがある.
     
    脳震盪という用語は軽度外傷性脳損傷(mild TBI)と同義であり,一般的に頭部外傷後の一連の臨床症状を表すために使用される.TBIは,硬い頭蓋円蓋内において粘弾性の脳が突然運動した結果として生じる.これは,皮質の挫傷や圧迫性での血腫等の組織のひずみの他,細胞の興奮毒性損傷や神経の炎症を引き起こす.TBIを軽症と重症に正確に区別することは,救急医にとって重要な能力である.
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