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序文
 
2版への序文
「優れた判断は経験から生まれ,経験の多くはお粗末な判断から生まれる」
—Will Rogers
 
1960年代後半にバーモント大学の医学生として救急医療に興味をもった私は(当時,救急に進む人は変わり種と思われていた),自分の医学教育(他のあらゆる点で優れていた)が,単純な軽症救急の治療に関しては欠けていたことにがっかりした.1975年,ジョージ・ワシントン大学メディカル・センターの救急診療部長として(また,ワシントンDC地域で最初の救急研修訓練を受けた救急医として),医学生に救急医療について1時間の講義をする機会を与えられたとき,私は軽症救急の教育の欠落が引っかかっていた(当時,救急医療をすべて網羅するのに1時間という時間は十分過ぎると考えられていた).
 
やがて私は,このスライドと講義を6時間のシリーズに拡大し,ジョージタウン大学医療センター救急部で定期的に開催するようになった.レクチャーシリーズで取り上げた内容の多くはまだほとんど研究されていない時代だったが,1985年に私は救急指導医であるThomas Stair先生の協力を得て,それらを“Common Simple Emergencies”という300ページの本にまとめた.この本に含まれる情報の大部分は,日常診療と個人の経験に基づいている.
 
それから15年後,より多くの研究が報告され,データが入手可能になったため,本書は現タイトルの『マイナーエマージェンシー』で再び出版され,ページも500ページに拡大された.基本の形式(「すべきこと/してはいけないこと」)はそのまま残しており,情報量が増えても,実用的な面は変わっていない.
 
1985年に初版が出版された当時とは対照的に,現在では『マイナーエマージェンシー』で扱われている内容のほとんどに多くの科学的データが存在する.本書は今や800ページを超え,現在手に入る膨大な情報量に圧倒されることもあるが,軽症救急に関する内容を扱った有用で実用的な手引書となるよう努めた.
 
旧版で使用したシンプルな形式を維持し,各章の重要な情報に読者の目を向けられるよう,太字のフォントを引き続き使用した.また,本文中のさまざまなトピックを識別しやすくするため,赤色のフォントを追加した.ディスカッションは,小さなフォントと二段組で強調され,圧縮されている.これらの変更により,本書をより完全で包括的なものにしながらも,一目で役立つものにすることができた.
 
臨床的な内容はすべて更新され,新しいものも追加された.また,読者にとって見やすくするため,多くの写真や図版(カラー)を追加した.さらに,索引を使いやすくするために私自身が索引を見直し,索引に多くの識別症状を含めることによって読者が検索している内容を見つけやすくなるようにした.
 
臨床医の皆さんが患者ともっと楽しく接することができるようにこのような形式にした.病態が軽症であれば,気分も楽になり,治療という芸術に専念することができる.患者は,痛みや心配を和らげ,思いやりをもって問題を解決し,その過程で笑わせてくれる,ユーモアのある臨床医を高く評価する.本書は,患者が軽症救急で受診した際に,あなたが落ち着いてしっかりと診療するのに必要な情報を提供する(ユーモアは自分で用意しよう).治療を受けて快方に向かった患者の笑顔や感謝の一言で,あなたはおおいに報われるだろう.
 
Philip M. Buttaravoli, MD, FACEP
 
3版への序文
最新版の『マイナーエマージェンシー』に学術的な要素を取り入れるため,私は母校であるバーモント大学に戻り,この本の原点に立ち返った.救急部長のStephen Leffler医師(FACEP)に声をかけ,彼と他の救急部スタッフが,『マイナーエマージェンシー』の内容を更新し,関連動画を含む電子版でこの書物をデジタル時代に合わせて発展させることに興味があるか尋ねた.
 
Stephenは部署のスタッフとともに,この挑戦を喜んで受け入れた.
 
彼らの協力のもと,この最新版の『マイナーエマージェンシー』は,ユーザーにとってより正確で便利なものとなるはずである.電子版は定期的に更新され,最新の臨床情報が継続的に更新がされる.
 
この第3版では,"Splinters to Fractures"という副題を削除し,書名を短くした.この副題は,役立つどころか誤解を招きかねないことから,新しい略題の方が本書の本質をよりよく反映している.
 
この新版が,日常的に国民の軽症救急医療に携わるすべての臨床医に役立つことを願っている.
 
Philip M. Buttaravoli, MD, FACEP
 
著者からのコメント
当社は,本誌に掲載された製品に関連するいかなる営利企業とも,いかなる関係も金銭的利害関係もありません.
 
ご意見,ご感想,ご質問は,Buttaravoli医師およびLeffler医師(e-med@juno.com,Stephen.Leffler@vtmednet.org,件名は「Minor Emergencies」)までお寄せください.
 
Philip M. Buttaravoli, MD, FACEP
(Butter ah’voli)
Stephen Leffler, MD, FACEP
 
4版への序文
英国医師会の書籍賞の外科部門で1位を獲得したことを考慮すると,第3版での評価の高い形式を変える必要はないと考えている.しかし,時間が経つにつれて,軽症救急の分野における新たな知見を読者に知らせる必要もある.
 
第4版を最新のものにするため,Leffler医師と私は,Ramsey Herrington医師を追加筆頭著者として迎え入れた.Herrington医師は,バーモント大学医療センターの救急医学部講座の主任教授であり,新しい救急医学研修(レジデンシー)プログラムの設立に尽力した功績をもっている.
 
この新しい救急プログラムの救急メンバーは,第4版の新旧の章の更新に貢献する重要な著者達である.基本的な形式は変わっておらず,本書はベテランの臨床医にとっても,救急医療,開業医,家庭医のキャリアを踏み出したばかりの医療従事者にとっても,実用的なガイドブックであり続けるはずである.
 
私が『マイナーエマージェンシー』の発行に積極的に関わるのは今回が最後となるが,当初は医学教育に欠けていた小さなニッチを埋めるお手伝いができたのであればうれしく思う.マイナーエマージェンシーを大切に扱うことに価値を見出してくださったすべての方々に感謝の意を捧げる.
 
Philip M. Buttaravoli, MD, FACEP