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著者:Mark Bisanzo and Kurt Eifling
翻訳:松本大賀(東京ベイ・浦安市川医療センター 救急集中治療科)
監訳:渡瀬剛人(藤田医科大学病院 救急医学・総合内科学講座)
 
概要
救急医は,クモに咬まれたと訴える患者を診療する.北米のドクイトグモ(brown recluse spider)やクロゴケグモ(black widow spider)による咬傷の評価と管理の方法,および膿瘍等の他の紛らわしい疾患との鑑別方法について説明する.
 
キーワード
クロゴケグモ(black widow spider)
ドクイトグモ(brown recluse spider)
皮膚壊死
クモ咬傷
クモ毒
タランチュラ

臨床像  
    ベッドでクモの上に乗ってしまったり,着替えの際に衣服の中にクモを見つけた患者が,捕獲したクモやその死骸を持って来院することがある.軽度の刺痛を感じた患者もいれば,まったく不快感をおぼえなかった患者もいる.初期には,咬まれたと思われる部位に軽度の紅斑が見られるだけかもしれない.咬まれてから数時間以内に灼熱痛,掻痒,腫脹が現れることもある.
     
    より一般的には,患者は中心部に小水疱を伴う隆起した紅斑性の有痛性病変を呈し,場合によっては出血していたり,初期の皮膚壊死により黒ずんだり青みがかった部位を伴っていることがある.クモが咬む様子を直接見ていなくても,患者または同伴者はこれを「クモ咬傷」ではないかと疑うことがある.
     
    ドクイトグモによる咬傷は,軽度の局所反応から痂皮形成を伴う重度の潰瘍性壊死(163.1)までさまざまである.咬傷はしばしば,中心部の水疱に加え斑点や真っ白な光輪(halo)を伴い,周囲の紅斑は時に「赤,白,青」に見える.通常,咬傷は衣服の下,大腿部,側胴部,上腕部に認められる.頸部に認められることは珍しく,手,足,顔に認められることはまれである.これらの咬傷には,筋肉痛,倦怠感,発熱,悪寒,悪心,嘔吐,全身性発疹,頭痛等の一過性で軽度の全身徴候および症状が伴うことがある.ごく一部の患者では,より重度の全身反応を示しうる.
     
    他の節足動物の病変やさまざまな病状は,ドクイトグモ咬傷に似ている.
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