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著者:Daniel Wolfson and Nathaniel Moore
翻訳:福水希梨(東京都立小児医療センター 救命救命科)
監訳:渡瀬剛人(藤田医科大学病院 救急医学・総合内科学講座)
 
概要
口腔内有痛性病変の臨床像と治療について概説し,単純性アフタとより重篤になる可能性のある複雑性アフタを区別する方法について説明する.治療には,疼痛管理のための局所麻酔薬,炎症を軽減するための局所または全身コルチコステロイドがある.
 
キーワード
アフタ性潰瘍
口腔潰瘍
アフタ
Behçet病
軽症アフタ
重症アフタ
ヘルペス様潰瘍

臨床像  
    患者は口腔内に有痛性病変を認め,しばしばヘルペスであることを心配することが多い.病変により摂食,発語,嚥下に支障をきたすこともある.歯科器具,義歯,歯科矯正による軽微な口腔外傷が原因となることもあれば,うっかり口腔粘膜を嚙んでしまい外傷性潰瘍を生じることもある.
     
    単純性アフタ(アフタ性潰瘍)は,一般的に病変の数は少なく,1~2週間以内に治癒し,再発はしにくい.逆に,複雑性アフタは,病変は多数で難治性であり,著しい疼痛や機能障害を伴う.
     
    アフタ性潰瘍は口腔潰瘍としても知られ,最も一般的にみられる.痛みを伴う前駆症状が2~48時間持続した後,灰色を基調とする浅い紅斑性潰瘍が出現するのが特徴である.それらは,平坦で境界明瞭な円形または楕円形の潰瘍として現れることがあり,中央部は脆弱な偽膜で覆われ,周囲には鮮赤色の紅暈がみられる.頰粘膜,口唇粘膜,舌溝,軟口蓋,咽頭,舌の側面および下面等,固定されていない非角化性粘膜あるいは歯肉に認められる.病変は通常孤立性であるが,多発したり小水疱や水疱の先行なく再発したりすることもある.その疼痛は,病変の大きさからは予想できないほどに強くなるのが一般的である.
     
    小アフタ(全周10 mm以下)はアフタ全体の80%を占め,通常は頰粘膜や口唇粘膜に存在し,瘢痕を残すことなく7~10日で自然治癒する(42.1).大アフタは全病変の10%を占め,10 mmより大きく,より深い.治癒までに数週間から数ヵ月を要することがあり,しばしば瘢痕を残す.大アフタは口腔後方の軟口蓋,扁桃,咽頭に生じうる(42.2).数ヵ月持続し,治癒が遅い大アフタは,エイズウイルス(HIV)感染が関連している可能性がある.残りの10%はヘルペス様潰瘍で,より小さく(1~3 mm)集簇または融合した潰瘍であり,舌背や口蓋の角化性粘膜に出現し1~4週間で自然治癒する(42.3).定義上,単純ヘルペスウイルスはこれらの病変から検出されない.
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