著者:James W. Harkess and John R. Crockarell Jr.
翻訳:河井利之(京都大学大学院医学研究科・整形外科),奥津弥一郎(京都大学大学院医学研究科・整形外科),後藤公志(京都大学大学院医学研究科・整形外科)
編集:松田秀一(京都大学大学院医学研究科・整形外科)
人工股関節全置換術は成人に対して最も一般的に行われる股関節再建術である.この章では,セメント固定およびセメントレス固定の人工関節置換術,ベアリングの選択,アプローチおよび低侵襲技術における現在のトレンドについて考察する.さらに,より広範な処置が必要となる再置換股関節形成術についても総説する.
Charnley式人工股関節置換術(THA)の成績は他の関節置換術の成績を評価するための指標となるものである.Charnley式THAが多くの患者の生活の質を改善したことは実験データ,臨床データが示している.それにもかかわらず,人工股関節置換術の歴史はそこにとどまることなく臨床成績を改善し続け,とりわけ若年患者においての成績改善が顕著である.研究は,(1)インプラント固定の耐久性の改善,(2)関節面の摩耗の低減,および(3)手術手技の改良によるリハビリテーションの迅速化とインプラント設置誤差の低減,といった複数の経路に沿って進められてきた.