著者:Marcus C. Ford
翻訳:後藤公志(京都大学大学院医学研究科・整形外科)
編集:松田秀一(京都大学大学院医学研究科・整形外科)
現在,人工股関節全置換術(THA)患者の中で,若年患者は最も急速に増加している.しかし,American Academy of Hip and Knee Surgeons(AAHKS)の調査では,若年患者は高齢のTHA患者に比べて満足度が低く,高いレベルの活動に戻る頻度が低いことが示されている.表面置換型人工関節置換術(SRA)は,若年で高い活動性が要求される人工股関節置換術患者にとって,有望な治療選択肢である.
表面置換は新しいコンセプトではない.SRAの初期のデザインは,1950年代~1970年代にかけて使用が開始されたが,許容できない程の摩耗粉を産生するポリエチレンコンポーネントがしばしば使用されたため,寛骨臼の過剰な骨損失およびインプラントの失敗をもたらした.WagnerとAmstutzの抜去されたインプラントのデータから,特に高い摩耗率と骨溶解が示され,1980年代初期までにSRAへの関心は低下した.しかし,SRAはTHAと比較して(大腿骨側の)より大きな骨量の温存が得られ,股関節のより解剖学的な修復を可能にするため,特に若年患者ではこの技術は魅力的であった.