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著者:Matthew I. Rudloff
翻訳:松井健太郎(帝京大学医学部),乾貴博(帝京大学医学部)
編集:渡部欣忍(帝京大学医学部附属病院外傷センター)
 
 
この章では,成人の下肢によくみられる骨折の手術治療について述べる.固定法の基礎は第53章で述べる.小児下肢骨折の治療は第36章で述べる.
 
保存治療は一般に,転位が少なく,安定している骨折,または重大な併存症のために手術が不可能な患者の骨折が適応である.髄内釘は,近位および遠位骨幹端に及ぶ骨折を含むほとんどの大腿骨と脛骨の骨幹部骨折に対する第一選択である.プレート固定は関節周囲骨折が一般的な適応である.創外固定は関節周囲骨折,重度の軟部組織損傷を伴う骨折,および内固定前の一時的固定が一般的な適応である.これらの手技の適応,禁忌,および限界について,下肢骨折ごとに解説する.
 
股関節および骨盤骨折の手術管理については第55章および第56章で述べる.足部骨折と脱臼については第89章で述べる.

足関節  
    足関節周囲の損傷は,骨構造だけでなく,靱帯や軟部組織損傷を伴う.軟部組織や靱帯の治療については第83章で述べる.足関節骨折では,正常からのわずかなずれであっても,良好な関節機能にかかわる.整復後のX線写真では,(1)足関節モーティスの正常な関係を回復しなければならない,(2)足関節の荷重アライメントが下肢荷重軸を通る,(3)関節面が正しく整復されている,という点を念頭に置いて読影すべきである.解剖学的再建により,よい結果が得られる.解剖学的整復を達成するための方法として,非観血的な徒手整復または観血的整復内固定術(ORIF)のいずれかがある.ほとんどの場合,ORIFが確実に解剖学的整復と骨癒合を確実に得られる方法である.
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