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著者:Anthony A. Mascioli
翻訳:栗山新一(京都大学大学院医学研究科・整形外科 )
編集:松田秀一(京都大学大学院医学研究科・整形外科)
 

効能・効果  
    人工膝関節全置換術の成功により,膝関節固定術は初回手術として施行されることはまれで,通常は人工膝関節全置換術の適応とならない少数の患者にのみ行われる.時に,重度の関節症をもつ若年患者では,患者の体重,職業,または活動レベルから,関節固定術の方が人工膝関節全置換術よりも適切なことがある.他の初回関節固定術を行う可能性のある適応には,感染後の有痛性強直,伸筋機構の廃絶,結核,外傷,麻痺状態での重度変形,神経障害性関節症,膝周囲の悪性もしくは悪性疾患の可能性のあるもの等が挙げられる.膝関節固定術の最も頻度の高い適応は,現在では人工膝関節全置換術の不成功例のサルベージであり,その多くは人工関節術後感染に起因するものである.
     
    膝関節固定術の最新シリーズの大半では,ほとんどの患者で骨癒合に成功したと報告しており,いくつかのシリーズでは最高100%の成功率であった.適切に手術選択された患者の多くは,膝関節固定に満足しており,特に術後疼痛の低下に満足している.しかし,一部の患者は機能的困難さや持続する疼痛を訴えている.人工膝関節全置換術不成功後のサルベージ手術としての関節固定術は,より低い骨癒合率,より高い感染率,および短縮(この状況ではしばしば2~5 cm)等,初回膝関節固定術と比較して劣った成績が予測される.
     
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