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著者:William J. Weller
翻訳:多田薫(金沢大学整形外科),内藤聖人(順天堂大学医学部整形外科学講座)
編集:岩崎倫政(北海道大学大学院医学研究院整形外科学)
 
本章では手関節の機能の解剖学,生体力学,運動学の観点から,さまざまな手関節疾患に対する診断,治療,手技について説明する.近年は手関節に関する多くの情報が蓄積されている.本章ではすべての議論を解決したり,新しい手技や技術を厳密に定義する試みは行っていない.

解剖  
    手関節は前腕と手の間の解剖学的領域であり,遠位橈尺関節,橈骨手根関節,尺骨手根関節,8個の手根骨とそれらの近位および遠位の関節,靱帯が含まれる.
     
    8個の手根骨は,近位手根列に舟状骨,月状骨,三角骨,豆状骨があり,遠位手根列に大菱形骨,小菱形骨,有頭骨,有鉤骨がある(図69.1).手根骨の大きさは最も小さい豆状骨および小菱形骨から,最も大きい有頭骨までさまざまであり,それぞれが有する関節軟骨面も1面のみの豆状骨から7面の有頭骨まで存在する.Viegasは第四手根中手関節,舟状大菱形小菱形骨関節,有頭月状骨関節,有鉤月状骨関節にみられる破格について強調しているが,これらの破格を知ることにより手関節の正常な運動学とさまざまな損傷パターンをより深く理解できる可能性がある.
     
    橈骨手根関節は,橈骨遠位端と舟状骨および月状骨が形成する橈骨遠位の凹状の関節面と三角線維軟骨上の三角骨を通じて形成される.近位手根列の遠位の凹状の関節面は,遠位手根列との手根中央関節を形成する.遠位手根列は中手骨と関節を形成しており,母指中手骨の可動性,示指および中指中手骨の安定性,環指および小指中手骨の可動性の増加を可能にしている.
     
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