手の先天異常の治療における難しさは長い間認識されてきた.Milfordは「1つの手術方法を,同様の先天異常においてさえ,標準化して適応することは困難である」と述べた.
先天性の手の変形の治療は,出生時またはその後の発達期に必要となることがある.病変が片側性または両側性である場合,単独発生の場合や,奇形症候群または骨系統疾患の部分症として発生する場合もある.通常,手の外科医による早期の診断が望ましいが,それは治療開始の緊急性のためではなく,親の疾患への理解を助けるためである.親は通常,手の外観,将来の手の機能,および次に生まれる弟や妹が同様の影響を受ける可能性についてかなりの不安を抱き,罪悪感をもつこともある.親に適切な情報を与え,可能な限り多くの不安を取り除くために,手外科医は遺伝様式,各疾患の望ましい治療法および予後を熟知することが大切である.個々の病態ごとに,外科的治療や保存的治療について具体的に考慮するべきことや適応について,検討するが,障害に対して小児が驚くべき機能的な代償能力をもつことを忘れてはならない.