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Part 18 > Chapter 78 手の腫瘍および腫瘍類似疾患

著者:James H. Calandruccio and Mark T. Jobe
翻訳:鍋島央(九州大学整形外科)
編集:岩崎倫政(北海道大学大学院医学研究院整形外科学)
 
手にはさまざまな腫瘍および腫瘍類似疾患が発生し,その多くは良性である.しかしながら,潜在的な問題があると考え細心の注意を払って対応する必要がある.手の場合,自由な間隙は限られており,鋭い感覚を有しているため,小さく組織学的に良性腫瘍であっても疼痛を引き起こし,機能を著しく障害する可能性がある.しかし,大部分の手の新生物(悪性も含む)は顕著な疼痛や圧痛を伴わずに潜行性に増大するため,美容上の懸念が患者の唯一の訴えとなることがある.したがって,良性と考えられる場合でもほとんどの手指の腫瘍は生検を検討すべきである.皮膚以外の組織から発生する悪性新生物はまれなため,これらの腫瘍の治療は主に小規模の研究や症例報告に基づいている.乳がん,肺がん,または腎がんが手に遠隔転移することがあり,そのほとんどは末節骨に発生する.

分類  
    手の腫瘍は,身体の他の部分の腫瘍と同様の方法で分類される.良性腫瘍は局所の生物学的活性に応じて,潜在型,活動型,局所侵襲型に分類される(表78.1).良性潜在型腫瘍とは,小児期または青年期に腫瘍が増殖し,その後非活動期または治癒期に入ったものである.良性潜在型腫瘍の例として単発性骨嚢腫がある.良性活動型腫瘍は被膜に完全に覆われてはいるものの増大し続け,凸凹とした不正な辺縁を有することがある.手の良性腫瘍の多くはこのカテゴリーに分類される.良性局所侵襲型腫瘍は非転移性であり,組織切片上では無害であるようにみえるが,局所的には破壊性であり,被膜は薄く脆いため腫瘍細胞全体が完全に覆われているとは限らない.骨巨細胞腫は,このような侵襲性の挙動を示すことが多い.良性局所侵襲型腫瘍を完全に根絶するためには広範切除縁がしばしば必要となる.
     
    表78.1 良性腫瘍の分類
    ステージ
    タイプ
    1
    潜在型
    2
    活動型
    3
    局所侵襲型
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