著者:James H. Calandruccio and Mark T. Jobe
翻訳:鍋島央(九州大学整形外科)
編集:岩崎倫政(北海道大学大学院医学研究院整形外科学)
手にはさまざまな腫瘍および腫瘍類似疾患が発生し,その多くは良性である.しかしながら,潜在的な問題があると考え細心の注意を払って対応する必要がある.手の場合,自由な間隙は限られており,鋭い感覚を有しているため,小さく組織学的に良性腫瘍であっても疼痛を引き起こし,機能を著しく障害する可能性がある.しかし,大部分の手の新生物(悪性も含む)は顕著な疼痛や圧痛を伴わずに潜行性に増大するため,美容上の懸念が患者の唯一の訴えとなることがある.したがって,良性と考えられる場合でもほとんどの手指の腫瘍は生検を検討すべきである.皮膚以外の組織から発生する悪性新生物はまれなため,これらの腫瘍の治療は主に小規模の研究や症例報告に基づいている.乳がん,肺がん,または腎がんが手に遠隔転移することがあり,そのほとんどは末節骨に発生する.