著者:William C. Warner Jr. and Jeffrey R. Sawyer
翻訳:柳田晴久(福岡市立こども病院整形・脊椎外科・脊椎科長)
編集:中島康晴(九州大学整形外科)
小児の神経筋性疾患には,脊髄,末梢神経,神経筋接合部,筋肉を侵す病態が含まれる.ポリオや脳性麻痺等の神経筋性疾患患者への整形外科的治療に一般的に用いられる手技は,遺伝性の神経筋疾患には適さないことがあるため,正確な診断が不可欠である.診断は,臨床的病歴,詳細な家族歴,身体所見,臨床検査(血清酵素検査,特にクレアチンキナーゼおよびアルドラーゼの血清中濃度を含む),遺伝子検査,筋電図,神経伝導速度検査,神経および筋肉の生検等に基づいて行う.クレアチンキナーゼの血清中酵素濃度は一般に上昇しているが,その上昇は,ある種のジストロフィー性筋疾患(例:Duchenne型筋ジストロフィー)を有する患者では正常値の50~100倍であるのに対し,先天性ミオパチーまたは脊髄性筋萎縮症(SMA)を有する一部の患者ではわずかな上昇(正常値の1~2倍)である.