寛骨臼骨折の治療は,整形外科外傷の最も複雑なものの1つである.寛骨臼骨折の治療の習得には明確な学習曲線が存在する.MattaとMerrittの論文に寛骨臼骨折の学習曲線について非常に詳しく述べられている.Mattaが手術治療を行った初期の寛骨臼骨折121例に対して,経時的に20例ごとにグループ化すると,不十分な整復を回避し,解剖学的整復を得る能力が,治療経験によって改善されたことが明確に示されている(図56.1).Kebaish,Roy,およびRennieも,これと同様の結果を報告している.すなわち,経験豊富な骨盤外傷外科医に比べて,経験不足の外科医が解剖学的整復を得る率は著しく低くなる(図56.2).