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Part 3 > Chapter 9 膝関節軟部組織処置と骨切り術

著者:Andrew H. Crenshaw Jr.
翻訳:栗山新一(京都大学大学院医学研究科・整形外科)
編集:松田秀一(京都大学大学院医学研究科・整形外科)
 
本章では,膝関節の骨,筋肉,腱,腱鞘,筋膜,滑液包の非外傷性に生じる異常に対する外科的治療について説明する.これらの疾患の原因は,変性,発育性,反復動作に関連し,またはこれらの因子の組合わせからなる.これらは外来診療でよくみられるが,手術を要するものはほとんどない.その多くが,安静,冷却または温熱療法,挙上,局所や全身への抗炎症薬投与等の治療に良好な反応を示す.

筋拘縮  
    拘縮はほとんどすべての筋群で発生する可能性がある.原因は,先天性拘縮のように明らかでないものもあれば,感染,虚血,外傷,または注射に併発する筋炎のように明白なものもある.注射による線維化は,大腿四頭筋で最も多くみられ,殿筋,三角筋,および上腕三頭筋でも報告されている.乳児期の拘縮は,しばしば抗菌薬の筋肉内注射に続発する.著者らは,ペンタゾシン(Talwin)の習慣的な筋肉内投与により,さまざまな箇所の筋肉で線維化と拘縮をきたした成人を数名経験した.経口ペンタゾシンにはナロキソン(Talwin NX)が配合されているため,錠剤を砕いて注射するとオピオイドの離脱症状を引き起こす.他のオピオイド鎮痛薬の筋肉内複数回投与でも,筋線維化や拘縮を誘発しうる.
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