著者:Kevin B. Cleveland
翻訳:今井教雄(新潟大学整形外科)
編集:川島寛之(新潟大学整形外科)
股関節離断術およびさまざまな種類の片側骨盤離断術は,原発性骨腫瘍の治療のために実施されることが最も多く,まれに転移,感染,または外傷に対して施行されることもある.化学療法,放射線治療および生物学的製剤による治療法の改善により,悪性腫瘍患者の生存率が上昇しており,これらの腫瘍に対する積極的な治療の適応が増大している.切断の範囲は腫瘍学的な必要性によって異なり,しばしば非標準的な皮弁が必要となる.このような広範囲の切断患者では,義足の使用に必要なエネルギーは正常な歩行の250%と推定されている.義足使用と比較して車椅子と松葉杖を使用した移動の方が50%速く,必要なエネルギー消費が少ない.しかし,特に若年患者では,短い距離であっても義足を使用した歩行能力を得ることは,身体的および精神衛生的にも有益である可能性がある.多心性の股関節や超小型処理装置を持つ膝のような義足の新しい進歩により,より多くの患者が自立性と移動能力を増している.これらの新しい進歩は,階段や傾斜等の環境障害物を乗り越える能力を高め,歩調を変えられるようにし,歩行補助具の必要性を最小限にする.また,より軽量の義足を使用することで,酸素消費量が減少し,義足の使用に対するコンプライアンスが向上した.義足の主な目標は,機能を改善し,自己の身体像を改善することである.しかし,義足を装着している患者はわずか43%で1日平均5.8時間程度である.義足の装着がうまくいかない場合の唯一の重要な基準は冠動脈疾患であるが,患者が義足を使用しない最も一般的な理由は義足使用の提案を受けなかったことであったため,義肢装具士への相談が最も重要であることがわかった.集学的チームがこれらの患者の治療に関与すべきであり,綿密な完全な術前計画が不可欠である.