Online eBook Library
著者:James H. Calandruccio
翻訳:山本美知郎(名古屋大学手の外科)
編集:岩崎倫政(北海道大学大学院医学研究院整形外科学)
 
Dupuytren病は,以前は正常であった手掌および手指皮下組織の増殖であり,結節および拘縮索として現れることがあり,その結果生じる手指および母指関節の屈曲拘縮により手の機能が損なわれることがある.その他の二次的変化には,病変の上を覆う皮下脂肪の菲薄化とそれに続く皮膚への付着,およびその後の皮膚の陥凹がある.病変活動性とその後の変形の程度にはかなり幅がある.時に,数週間~数か月以内に指が著しく曲がることがあるが,重度の変形が生じるには通常数年を要する.
 
異所性に発生するDupuytren病と同様な皮下に生じる沈着物は,さまざまな部位(図75.1)で発生する可能性がある.Dupuytren拘縮患者の約5%が片足または両足の内側足底腱膜に同様の病変を有し(Ledderhose病),患者の3%は塑性変形を伴う陰茎硬結を有し(Peyronie病),「ナックルパッド」(Garrod結節)が背側の近位指節間(PIP)関節に認められる.これらの関連所見を有する患者はDupuytren素質を有すると考えられ,この病気のより進行性で再発性の型になりやすい.
 
Dupuytren拘縮は40代~60代の成人によくみられ,男性のほうが女性よりも6~10倍頻度が高い.McFarlaneによれば,男性(33歳~63歳)のほうが女性(46歳~70歳)よりも罹患率が有意に高いという.北欧の白人に最も多くみられるが,時に黒人に,まれにアジア人にも報告されている.病変は,糖尿病またはてんかん患者(42%)でより高頻度かつ重度であることが報告されており,アルコール依存症患者の罹病に関しては相反する報告がある.病変はしばしば両側性(45%)であるが(図75.2),まれに対称性である.Mikkelsenらは60歳以前に発症した男性は死亡率が高い可能性があることを発見した.
 
閲覧にはご購入・ログインが必要となります。

ご購入はこちら
ログインする