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著者:John C. Weinlein
翻訳:佐々木源(帝京大学医学部・助手)
編集:渡部欣忍(帝京大学医学部附属病院外傷センター)
 
米国では毎年約200万件の長管骨骨折が治療されている.このうち約10万件は偽関節となっている.偽関節は患者だけでなく一般社会にとっても非常に問題となりうる.偽関節の患者は著しい障害を有し,関連する治療費は患者および社会にとって重荷となる.Brinkerは脛骨と大腿骨の偽関節に関連した重篤な身体的(図59.1)および精神的障害を報告した.偽関節の治療に成功した患者は著しい改善を経験することがあるが,機能的転帰スコアに関する集団ベースの基準に後れをとることが多い.Antonovaらは,脛骨偽関節の総治療費の中央値は,問題なく骨癒合に至った脛骨骨折にかかった費用の2倍以上であることを報告した.さらに,偽関節の患者のオピオイド使用期間は,偽関節のない患者の2倍であった(2.8か月に対して5.4か月).
 
偽関節の治療は整形外科医が主導することもあるが,多くの場合,感染症内科医,形成外科医,血管外科医,内分泌医,内科医,理学療法士,作業療法士,精神科医または他の精神保健専門家を含むさまざまなスタッフの協調的関与が必要である.偽関節の治療は複雑であることが多いのだが,これらの患者の多くは長期にわたり著しく障害されてきたため,治療により大きな利益がもたらされる.

定義