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Part 19 > Chapter 83 腱・筋膜の障害,思春期・成人期の扁平足

著者:Benjamin J. Grear
翻訳:田﨑正和(昭成会田﨑病院整形外科),坂井達弥(佐賀大学医学部整形外科)
編集:仁木久照(聖マリアンナ医科大学整形外科学講座/聖マリアンナ医科大学病院整形外科,人工関節センター,リウマチ・膠原病生涯治療センター)

後脛骨筋腱の障害  
    慢性腱鞘炎(外傷性,変性,または炎症性関節炎に続発する),腱の連続性の喪失(完全または不完全),腱とその付着部または外脛骨との正常な解剖学的関係の喪失により,後脛骨筋腱が底屈,内がえし,内側縦アーチの安定化に不十分となることがある.このため,後脛骨腱機能不全という用語は記述的である.この足の重要な腱の病理学的所見を伝えるためには,前述の病因に従いさらに分類することが必要である.アキレス腱を除き,膝より遠位の他の筋腱ユニットは,後脛骨筋腱の消失ほど多くの症状および機能障害を引き起こすことはない.
     
    進行性成人期後天性扁平足変形の病因は多因子性であり,この腱の可動域を減少させる病的状態はいずれも非対称性扁平足の典型的な変形を生じうる.後脛骨腱不全と柔軟な扁平足変形の間の違いに注意することが重要である.成人期扁平足変形では,後脛骨腱の機能不全に続発して足の形態が変化し,非対称性のアーチの減退につながる.一方,柔軟な外反扁平足変形(可撓性扁平足)は典型的には対称性で,後脛骨筋腱は機能している.この対称性の変形は,後天性腱機能不全よりも患者の基礎にある解剖学的形態とより関連している.それにもかかわらず,基礎に外反足を有する患者でも,腱機能不全および変形が悪化しうる.冠状面における後距踵関節での外反の増加と肥満は,成人期扁平足変形と関係する.成人期後天性扁平足変形では,変形の構成要素は後足部外反,Chopart関節での中足部外転,前足部回内でそれは初期にChopart関節で生じる.これらは荷重時に最も反映され,各要素は後脛骨機能不全の程度,内側縦アーチの低下の程度と部位,機能不全の慢性度,変形の可撓性(固縮性),および後脛骨腱機能不全発症前のアーチ形状に依存して重症度が異なる可能性がある.
     
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