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Part 18 > Chapter 64 基本的な手術手技と術後管理

著者:David L. Cannon
翻訳:池口良輔(京都大学医学部附属病院リハビリテーション科)
編集:岩崎倫政(北海道大学大学院医学研究院整形外科学)
 
手は人体の中で最も複雑で多様な構造である.手と手首は27個の骨からできており,毎日のさまざまな作業に必要なさまざまな肢位をとるために,30以上の筋肉と,多くの靱帯と腱を必要とする.手の機能の複雑さは,それを司る脳の大きさに反映されている.手のいずれかの部分の損傷または機能障害は,重大な障害を引き起こす可能性がある.生活のあらゆる面で手が重要であるため,外科医は正しい診断を行い,適切な治療を行い,適切かつ必要な処置を行うことが不可欠である.

術前計画と準備  
    適切な診断を確定するためには,慎重にとられた病歴および病変部の詳細な身体診察で十分であることが多い.一般的な手および手関節のX線前後像,側面像,および斜位像に加えて,手関節,母指基部,および第五手根中手関節の所見を追加してもよい.MRIおよびCTは,手および手首の骨および軟部組織の問題を明らかにするのに十分な追加情報をえることができる.骨シンチグラフィー検査では,単純X線像で確認できる前に,骨病変が示されることがある.電気生理学的検査(筋電図検査および神経伝導速度検査)は,神経圧迫部位の位置を特定し,他の病態(例:末梢神経障害)を明らかにすることがある.炎症性関節炎等の全身性疾患が疑われるが診断されていない患者では,専門医による適切な評価が非手術的管理の決定に役立つ.ワルファリン,ステロイドまたは他の抗炎症薬,免疫抑制薬,および糖尿病のための薬剤を服用している患者は,術前および術中に投薬量の変更または投薬の中止を必要とすることがある.
     
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