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著者:A. Paige Whittle
翻訳:高木基行(福島県立医科大学外傷学講座),原田将太(福島県立医科大学外傷学講座・総合南東北病院外傷センター)
編集:渡部欣忍(帝京大学医学部附属病院外傷センター)
 
 
骨折変形癒合は,骨片が非解剖学的位置で癒合した骨折である.見た目に変形が明らかかどうかにかかわらず,次のような点で機能障害を引き起こす可能性がある:(1)関節面の異常は,特に下肢において,不規則な荷重移動および関節炎を引き起こす可能性がある,(2)骨片の回旋や角状変形は,下肢の適切なバランスや歩容,上肢の肢位の障害を生じうる,(3)骨片の重なりや骨欠損は,明らかな短縮をもたらす可能性がある,(4)隣接する関節の可動性が制限されることがある.厳密に定義すると,閉鎖療法では骨折変形癒合は普通にみられる状態である.しかしながら,多くの場合,機能的には許容される.骨折変形癒合は,機能が損なわれた場合にのみ外科的に重要となる.
 
骨折変形癒合は一般に,骨折治癒過程の不正確な整復や不十分な固定によって引き起こされる.新鮮骨折の治療が熟練したものであったならば,大部分の変形癒合は予防できるであろう.しかしながら,最高の専門家の治療においてさえ,時に変形癒合が起こる.生命を脅かす損傷の治療が優先される多発外傷患者では,変形癒合が生じやすい.特に頭部外傷を有する患者では,後に転位が判明し,患者が可動性を回復した後に変形や障害をきたすことがある.
 
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