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著者:James H. Calandruccio
翻訳:岩本卓士(慶應義塾大学整形外科)
編集:岩崎倫政(北海道大学大学院医学研究院整形外科学)

関節リウマチ  
    関節リウマチは,特発性炎症性関節炎の中で最も多く,人口の約0.8%を占め,女性は男性の2倍~4倍の頻度で発症する.この疾患は肥大性滑膜炎を特徴とし,軟部組織の弛緩により関節不安定性をきたし,関節亜脱臼および脱臼に至ることがある.滑膜炎により関節軟骨破壊が続発し,摩耗による腱断裂につながることがある.しかしながら,結節性腱病変が関節病変とは無関係に存在する可能性があり,屈筋腱の弾発またはロッキング等の関節運動制限につながる.同様に,伸筋腱の結節が伸筋支帯にインピンジすることにより手関節の伸展が制限されることがある.機能は保たれているにもかかわらず,外見上の変形(特に手の変形)により社会性が変化することがある.
     
    病状進行のさまざまな時点で,関節リウマチ患者の治療にはリウマチ専門医,内科医,他の専門医,外科医,療法士,カウンセラー等の管理チームが関与する.手術的治療も全般的な病状管理の一部と考えるべきである.
     
    1990年代半ばに疾患修飾抗リウマチ薬,2000年初頭に生物学的製剤等の薬物療法が導入されて以来,英国では手のリウマチ手術は83%減少した.これは,内科的治療戦略が病気進行の予防に成功していることを示す.しかしながら,リウマチ性疾患の患者は,診断未確定の状態でさまざまな症状および徴候を主訴として手の外科医を最初に受診することがある.病歴,身体診察,およびX線検査でリウマチ性疾患が示唆される場合は,非外科的治療の方が適切なことがある.
     
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