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著者:Barry B. Phillips
翻訳:中瀬順介(金沢大学附属病院整形外科)
編集:黒田良祐(神戸大学大学院医学研究科・整形外科)
 
再発性の不安定症は,先天性,発達性,外傷性の靱帯断裂または骨欠損,1つ以上の平面における筋力不均衡,関節の不適合,関節のアライメント異常に起因する変形により生じる.具体的な治療計画を開始する前に変形に関する丁寧な評価を始めることが適切な治療につながる.

膝蓋骨  
    膝蓋骨不安定症は,直接的または間接的な外反力に起因する.大きな力によって脱臼が起こると,内側軟部組織断裂の他,膝蓋骨または大腿骨外顆に骨軟骨欠損が生じることがある.骨格が未熟な患者の脱臼は,他の関節と同様に再発する傾向があり,2/3の患者で再発する.
     
    膝蓋骨不安定性をもたらすのに必要な外傷の程度は,静的(内側膝蓋大腿靱帯[MPFL])および動的(内側斜広筋[VMO])両方の軟部組織,骨制動,滑車および膝蓋骨の形態,ならびに水平面および冠状面における四肢アライメントに依存する.正常では,MPFLおよびVMOは0~20度の屈曲位で膝蓋骨の安定性を維持する.30度では,膝蓋骨は中心に位置し,滑車の骨形態によって安定する.膝蓋骨高位,滑車または膝蓋骨低形成が存在する場合,骨の安定性が損なわれる.大腿骨前捻または脛骨外旋による外反膝または回旋変形は,Q角を増大させ,膝蓋骨に外反方向の力がかかる.保存的または手術的治療の適応を判断する場合,これらの因子をすべて考慮しなければならない.
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