脊椎すべり症はギリシャ語のspondylo(脊椎)とolisthesis(すべり)に由来する記述用語で,1782年に産科医のHerbinauxによって最初に記述された.脊椎すべり症の病因はWiltseによって最初に分類され,その後長年にわたって,サブタイプの分類が追加された.種々の分類に共通する特徴は,隣接する尾側椎体に対する頭側椎体の前方移動である.この移動を引き起こす生体力学的な力は,後方に位置する脊柱起立筋の収縮によって生じる前方へのベクトルと,上半身に作用する重力と腰椎および腰仙椎移行部の前弯により生じる力とが相まって形成し,この変形が歩行可能になる前の小児にはみられない理由として説明できる.どのようなタイプの脊椎すべり症であっても,通常はこの前方への力に抵抗する解剖学的構造の障害がある.これらの構造には,椎間関節,線維輪,椎弓,椎弓根などが含まれる.脊椎すべり症の症状には,軸性疼痛,神経因性跛行,神経根障害,さらに馬尾症候群などがある.加えて,脊椎すべり症に関連した変形は,臨床的に明らかでないものから,顕著な矢状面アンバランスや,体幹短縮を伴う重度のものまである.最近の文献には,脊椎すべり症の発症と進行に対して,脊椎骨盤X線学的パラメータが果たす役割に焦点を当てているものもある.生体力学的力と放射線学的パラメータのさらなる理解は,脊椎すべり症に対するより良い治療決定をもたらすものである.