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Part 7 > Chapter 23 結核とその他まれな感染症

著者:Andrew H. Crenshaw Jr.
翻訳:有泉高志(新潟大学整形外科)
編集:川島寛之(新潟大学整形外科)

結核  
    結核は主として結核菌ないしはウシ型結核菌の吸入または経口摂取により感染する.感染後,感染は宿主によって除去されることもあれば,一次感染に至ること,あるいは潜伏感染から再活性化することもある.その後,リンパ性,血行性,播種性に隣接部位から他の組織・臓器に波及する.臨床症状は,孤立性の筋骨格系病変であるか粟粒結核があるかにより異なる.粟粒結核は急速な経過をきたし,全身症状には発熱,悪寒,咳嗽,胸膜の疼痛,体重減少,易疲労感等がみられる.患者は急性症状をきたす場合もあれば慢性症状を呈することもある.粟粒結核の死亡率は20%~30%である.「粟粒」という用語は,胸部X線像で認める肺野全体に散在する雑穀の種子に似た小さな病変(1~5 mm)を指す.
     
    現在,世界の結核感染率は全人口の1/3と推定されている.結核の発生率はここ数年世界的に低下しているが,結核は依然として世界で最も頻度の高い死因の1つである.世界保健機関(WHO)によると2013年の死亡者数は110万人であった.新規発症率が最も高いのは東南アジアだが,感染率や死亡率が最も高いのはサハラ以南のアフリカである.
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