著者:Barry B. Phillips
翻訳:星野祐一(神戸大学大学院医学研究科・整形外科)
編集:黒田良祐(神戸大学大学院医学研究科・整形外科)
過去50年の間に,関節鏡検査は種々の関節疾患の診断と治療に対する整形外科医のアプローチを劇的に変えた.高い臨床的精度と低い合併症率が組み合わさって,診断の補助,予後の判定,および治療のための関節鏡の使用が奨励されている.関節鏡は,完全な臨床評価の代用ではなく,補助として扱うべきである.関節鏡検査はすべての臨床技術の代わりではない.
関節鏡および光ファイバーシステムのレンズ,小型化,および付属手術器具の改良により,膝関節,肩関節,股関節,足関節,肘関節,手関節,手,および足を含む身体のあらゆる関節に対して高度な鏡視下手術が可能になった.脊椎手術でさえ,内視鏡技術を用いて行われることが多くなっている.多くの関節鏡下手術は以前の観血的手技より優れていることが証明されてはいるが,手術結果を顧みずに関節鏡下手術の適応を拡大すべきではない.