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著者:Edward A. Perez
翻訳:黒住健人(虎の門病院外傷センター),宮本英明(帝京大学整形外科)
編集:渡部欣忍(帝京大学医学部附属病院外傷センター)
 
上肢の外傷は,生じた損傷が骨折であるか,脱臼骨折であるか,軟部組織または神経血管損傷を伴った重度の損傷であるか等といった状況があり,整形外科医にとってしばしば難しい問題となる.上肢損傷後の最終機能予後は,骨の状態だけでなく周囲の軟部組織の状態に左右されることが多い.下肢の骨折においては,拘縮,隣接関節の運動障害,および他の軟部組織障害を伴って治癒することがあるが,それでも良好な機能的予後をもたらす.一方で,上肢において骨折の治癒にこれらの後遺症が合併すれば,骨自体は十分に治癒しているにもかかわらず重度の機能障害が生じることが多い.この章では,上肢および肩甲帯の骨折および脱臼骨折の外科的治療について考察する.整形外科医は,軟部組織損傷に対しても絶えず注意を払う必要がある.

鎖骨