著者:A. Paige Whittle
翻訳:石井桂輔(帝京大学医学部附属病院外傷センター)
編集:渡部欣忍(帝京大学医学部附属病院外傷センター)
事故による怪我は,米国では1歳~45歳の死因で最も多い(表53.1).2017年に米国では,すべての年齢層で860万件近くの偶発的(意図的でない)非致死的転倒が報告された.65歳以上の高齢者では,3人に1人が転倒して重傷を負ったり,死亡したりする.この高齢者層では転倒が入院の最も一般的な理由であり,骨折の87%は転倒によるものである.2012年には,米国の高齢者における320万件の医学的治療を受けた非致死性転倒関連傷害があり,2012年の直接医療費は303億ドルと推定されている.これらの費用は2015年には313億ドルに増加した.大腿骨近位部骨折だけで,メディケアの費用は1990年の30億ドルから現在は150億ドルに上昇した.大腿骨近位部骨折は米国で30万件,国際的には160万件発生していると推定されている.平均余命が長くなるにつれて,脆弱性骨折の発生率とコストも高くなるだろう.
表53.1 25~44歳の個人における米国で最も一般的な死因
1980 | 2003 | 2017 |
1.事故による外傷 | 1.事故による外傷 | 1.事故による外傷 |
2.がん(全種類) | 2.がん(全種類) | 2.自殺について |
3.心臓病 | 3.心臓病 | 3.がん(全種類) |
4.殺人 | 4.自殺 | 4.心臓病 |
5.自殺 | 5.殺人 | 5.殺人 |
6.慢性病気/肝硬変 | 6.HIV | 6.肝臓病 |
7.脳血管性病気 | 7.慢性病気/肝硬変 | 7.糖尿病 |
8.糖尿病 | 8.脳血管性病気 | 8.脳血管性病気 |
9.肺炎およびインフルエンザ | 9.糖尿病 | 9.HIV |
10.先天異常 | 10.インフルエンザおよび肺炎 | 10.敗血症 |
From the National Center for Health Statistics: Health, United States, 2018. https://www.cdc.gov/nchs/hus/contents2018.htm.