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著者:David D. Spence and Benjamin W. Sheffer
翻訳:福岡真二(福岡県こども療育センター新光園),武田真幸(佐賀整肢学園こども発達医療センター),松尾篤(佐賀整肢学園こども発達医療センター)
編集:中島康晴(九州大学整形外科)

病因  
    脳性麻痺は,運動と姿勢が障害される,異種混合の疾患群であり,その症状は軽度の運動障害から重度の全身障害まで幅広い.臨床症状のこのような多様性と確定診断検査の欠如のため,脳性麻痺が何であるかを正確に定義することは困難であり議論の余地がある.脳性麻痺のすべての患者に共通する3つの顕著な特徴があることは一般的に認められている:(1)ある程度の運動障害があり,全般的な発達遅滞や自閉症等の他の状態と区別される,(2)発達中の脳に対する傷害により,年長小児や成人の成熟した脳を侵す状態とは異なる,(3)神経障害は非進行性で,筋ジストロフィー等の小児期の他の運動障害とは区別される.2004年に,脳性麻痺の定義のための国際実行委員会は,脳性麻痺の定義を次のように改訂した:脳性麻痺(CP)は,運動と姿勢の発達が永続的に障害される疾患群を指し,活動制限を引き起こし,胎児または乳児の発達中の脳で発生した非進行性の障害に起因する.脳性麻痺の運動障害には,しばしば,感覚障害,知覚障害,認知障害,コミュニケーション障害,行動障害,てんかん,二次性筋骨格系障害を合併する.
     
    脳への傷害は,受胎時から2歳までの間に起こると考えられており,その時点ですでにかなりの運動発達が起こっている.しかしながら,2歳以降に脳に同様の損傷が生じた場合も,同様の症状が現れることがあり,しばしば脳性麻痺とよばれる.8歳までには,未熟だった脳の発達の大部分は完結し,歩行発達も同様であり,脳への傷害はより成人型に近い臨床像と転帰をもたらす.
     
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