著者:Mark T. Jobe
翻訳:森谷浩治(新潟手の外科研究所)
編集:川島寛之(新潟大学整形外科)
整形外科的な問題に対するマイクロサージャリー技術の適用範囲は拡大している.Koshimaらによって造語されたスーパーマイクロサージャリーは,1mm未満の血管の吻合が必要となる遠位部での再接着術および穿通枝皮弁が該当する.本章では,小血管および神経の修復を含む,手の手術に適したマイクロサージャリー手技(上肢と下肢における微小血管技術を用いた複合組織移植や切断された部分の再接着への取り組み)について説明する.
マイクロサージャリーには,手術用顕微鏡による拡大が必要とされるような非常に小さい構造に対する外科的手技が含まれる.5倍の拡大ルーペを用いて多くの手技を行うことができるが,顕微鏡は16~40倍の拡大を提供し,それは直径2 mm未満の構造物を扱う場合には不可欠である.小さな神経および血管の展開および露出には6倍および10倍の拡大が最も多く用いられ,マイクロサージャリーによる血管および神経の修復には16倍および25倍の拡大が利用される.顕微鏡下で術野も見なければならない助手を必要とする外科的処置には,二重双眼顕微鏡(複視鏡)が不可欠である.また,三眼顕微鏡は第二助手や見学者と一緒に使うこともできる.追加のポートは,テレビ,動画,写真用に使用できる.電気式フットコントロールは焦点と倍率の調整に役立つ.