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著者:David R. Richardson
翻訳:今井教雄(新潟大学整形外科)
編集:川島寛之(新潟大学整形外科)
 
下肢切断の割合として,足部および足関節周囲の切断が増加している(図15.1).血管および血流評価の進歩と,義足および履物の改良に伴い,足関節および足部部分切断の成功により機能や生活の自立が改善されていると考えられている.患肢温存が患者にとって最善の方法ではないと判断された場合,切断または離断術を行うことは,治療の失敗ではなく再建手技と考えるべきである.
 
下肢遠位部切断術の適応には,外傷,末梢血管疾患,神経障害,感染症,および腫瘍がある.外科医は,切断術の是非の決定に影響を及ぼしうる知識,技術,および最新の知見を認識していなければならない.ここ数年で,切断術の適応をより明確に定義するための文献が増えてきた.下肢評価プロジェクト(LEAP)の研究では,四肢温存指数,予測的温存指数,および四肢切断重症度スコア等の損傷の重症度スコアリングシステムは,最終的に切断術が有益となる患者を示す際には感度が低いことが示唆されている.しかし,LEAP試験では,Mangled Extremity Severity Scoreが切断術を必要としない患者を除外するのに極めて特異的であることが明らかになった.
 
現在,糖尿病患者は虚血肢に対する切断例の70%以上を占め,部分的足部切断を受けた糖尿病患者の30%以上は最終的により近位レベルの四肢切断に進行する.糖尿病患者は死よりも大切断を恐れていることが研究で示されている.したがって,共感と理解は治療の重要な要素である.
 
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