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著者:William C. Warner Jr.
翻訳:富田浩之(名古屋大学大学院医学系研究科・整形外科学)
編集:今釜史郎(名古屋大学大学院医学系研究科・整形外科学)
 
さまざまな疾患および先天奇形が小児頚椎に影響を及ぼし,不安定性または脊髄の侵害による神経学的障害のリスクを高める可能性がある.頚椎上部の奇形は1人の患者に複数みられるため,患者に1つの奇形がみられる場合は,他の奇形を探す必要がある.患者1人あたり平均3.4個の頚椎骨奇形が報告されている.

正常な発生および成長・発達  
    脊椎のほとんどの疾患は,異常な成長および発達過程の結果である.これらの疾患を理解するためには,小児頚椎の正常な発生学,成長および発達の知識が必要である.脊椎の胚発生では,42~44対の体節(後頭部4個,頚椎8個,胸椎12個,腰椎5個,仙骨5個,尾骨8~10個)が脊索の両側の中胚葉から頭尾方向に形成される.それぞれの体節は,硬節または皮筋節に分化する.椎弓および椎体の前駆体である硬節は,神経管および脊索を囲むように胚の正中線に集まり,頭部と尾部に分離する.それぞれの硬節の頭部は,直接上の硬節の尾部と再結合し,最終的に脊椎を形成する.頚椎では,8対の胚性体節が7本の頚椎を形成し,第一頚椎硬節の頭部が後頭部の発生に寄与し,第八頚椎硬節の尾部がT1椎骨の形成に寄与する.
     
    後頭頚椎接合部の形成機序は異なっており,より複雑である.最初の4つの脊椎硬節は融合して後頭部と後頭孔を形成する.第一頚椎硬節の頭部は半節のままで,最終的に後頭顆の一部と歯突起(前環突起)の先端になる.環椎は第一頚椎硬節と第四後頭硬節からの細胞寄与により形成される.しかし,他の硬節とは異なり,第一硬節の椎弓は椎体から分離してC1のリングとなり,上方の前環突起およびC2の椎体と融合して歯突起およびC2の椎体となる.このように,軸椎は第一頚椎硬節(歯突起の先端)の頭蓋半分,第二頚椎硬節,および歯突起の本体となる椎体からの細胞の寄与によって形成される.軸椎の下方部分は,第二頚椎硬節から形成される.
     
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