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著者:Norfleet B. Thompson
翻訳:鍋島央(九州大学整形外科)
編集:岩崎倫政(北海道大学大学院医学研究院整形外科学)
 

手の感染症に影響する因子  
    ほとんどの手の感染症の臨床経過は,細菌の病原性および接種材料の大きさに加え,解剖学的,局所的および全身的な因子に影響される.感染の侵入,局在化,および拡散の容易さをある程度決定する解剖学的因子には,(1)腱,骨,および関節を覆う薄い皮膚と皮下組織,(2)遠位指腹の閉鎖腔,(3)骨・関節に対する屈筋腱腱鞘の近接性,(4)橈側および尺側滑液鞘につながる屈筋腱腱鞘の手掌近位への広がり,(5)手の母指腔と手掌中央腔,屈筋腱腱鞘付近の手関節近位にあるParona腔の位置が挙げられる.
     
    感染が生じやすくなる局所的因子には,(1)軟部組織損傷の範囲と性質,(2)細菌汚染の量と毒性,(3)創内に存在し残留する異物の種類と量がある.感染の経過に関連する全身的因子には,患者の免疫力に影響を及ぼすものが含まれる.例えば,(1)栄養失調,(2)アルコール中毒,(3)静注薬物乱用,(4)糖尿病,(5)ステロイドおよび抗腫瘍壊死因子α製剤の長期使用,(6)臓器移植および骨髄移植後の免疫抑制,(7)ヒト免疫不全ウイルス感染等がある.
     
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