著者:Gregory D. Dabov
翻訳:谷藤理(新潟大学 整形外科)
編集:川島寛之(新潟大学大学院 医歯学総合研究科整形外科)
骨髄炎は整形外科医が直面する最も困難で挑戦的な問題の1つである.現在,骨髄炎による罹患率と死亡率は,抗生物質の使用や積極的な外科的治療を含む現代の治療法によって比較的低くなっている.管理を成功させる鍵は,早期診断と適切な外科的および抗菌治療である.重大な軟部組織欠損を伴う複雑な症例では,整形外科医,感染症専門医,および形成外科医を含む集学的アプローチが必要である.更に,このような患者には栄養カウンセリングおよび心理カウンセリングが有益な場合がある.骨髄炎は,感染性微生物によって引き起こされる骨の炎症と定義される.感染は,骨の単一の部分に限定されることもあれば,骨髄,骨皮質,骨膜および周囲の軟部組織のような多数の領域を含むこともある.感染は一般には単一の微生物によるものであるが,複数菌感染が起こることもあり,特に糖尿病患者の足でよくみられる.