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著者:Gregory D. Dabov
翻訳:谷藤理(新潟大学 整形外科)
編集:川島寛之(新潟大学大学院 医歯学総合研究科整形外科)
 
骨髄炎は整形外科医が直面する最も困難で挑戦的な問題の1つである.現在,骨髄炎による罹患率と死亡率は,抗生物質の使用や積極的な外科的治療を含む現代の治療法によって比較的低くなっている.管理を成功させる鍵は,早期診断と適切な外科的および抗菌治療である.重大な軟部組織欠損を伴う複雑な症例では,整形外科医,感染症専門医,および形成外科医を含む集学的アプローチが必要である.更に,このような患者には栄養カウンセリングおよび心理カウンセリングが有益な場合がある.骨髄炎は,感染性微生物によって引き起こされる骨の炎症と定義される.感染は,骨の単一の部分に限定されることもあれば,骨髄,骨皮質,骨膜および周囲の軟部組織のような多数の領域を含むこともある.感染は一般には単一の微生物によるものであるが,複数菌感染が起こることもあり,特に糖尿病患者の足でよくみられる.

分類  
    骨髄炎の分類は,感染期間や感染機序,感染に対する宿主の反応の種類など,多数の基準に基づいている.Hotchenらは,骨髄炎に対して提案された13の異なる分類システムをレビューし,これらのシステムにおける7つの異なる変数を同定した.著者らは,これらの変数のうち最も重要なものは,骨病変,抗菌薬耐性パターン,軟部組織被覆の必要性,および宿主の状態であると結論した.骨髄炎は従来,症状の持続期間に応じて急性亜急性または慢性に分類されている.しかしながら,これらの分類を定義する期限は恣意的である.感染機序は外因性または血行性である.外因性骨髄炎は,開放性骨折,手術(医原性),または感染局所組織からの隣接部位への拡大によって引き起こされる.血液型は菌血症に起因する.骨髄炎は,病気に対する宿主の反応に基づいて,化膿性または非化膿性に分類することもできる.CiernyとMaderは宿主因子と解剖学的基準に基づく慢性骨髄炎の分類システムを提案した.このシステムについては,慢性骨髄炎のセクションで詳しく説明する.本章の分類は,症状の期間(急性,亜急性,慢性)および感染機序(外因性または血行性)に基づく.
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