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総合診療のバイブルが翻訳版で読める!
レイケル総合診療テキスト

抜粋版

監訳・監修者:竹村洋典
本書は米国でFamily medicineがthe American Board of Medical Specialtiesに承認された1973年に出版されて以来、改訂を重ねている総合診療バイブルの日本語版である。本書では、重要である総合診療の原則(原書Part ONE部分)を取り上げる。特に日本でも学ぶべき点の多い、地域社会で診療する上で必要なFamily medicineの原則をわかりやすく詳説している。たとえば総合診療医として必要な患者中心の医療について、地域においての患者へのかかわり、患者との信頼関係の確立などとともに取り上げられている。患者の満足度や医師の満足度、信頼関係を築き継続した診療を行っていくには、本書で得られる知識の役割は大きい。
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 私が米国のテネシー大学で総合診療(family medicine)の臨床研修を始めたのは,もう40年以上も前である。さまざまな診療科の診療ができるだけで総合診療医(family physician)になれると思っていた私にとって、米国の臨床研修でまず直面したのは、患者中心の医療の概念である。今では多くの学生や医師が知るに至った概念であるかもしれない。しかしそれまで私は日本の古典的な(?)医学教育にどっぷり浸かっていたため、患者中心の医療の概念に思い至らなかった。また渡米前に私の周りにいた多くの医師が古来の日本医学の概念を持ち、また日本の医学教科書などの書籍も島国的な内容を伝えていた。これらによって、米国で3年間の総合診療専門研修を受けながら、私は「僕が知らない何かを僕以外の米国人専攻医は知っている」と思わざるをえなかった。その答えが米国の総合診療の教科書に書かれているに違いないと考えた私は、大学の書店のfamily medicineの本が並ぶ一角に早速向かった。書棚にはRakelのTextbook of Family Medicine、McWhinney のMcWhinney's Textbook of Family Medicine、TaylorのFamily Medicine: Principles and Practice、Fundamentals of family medicine……。たくさんの分厚い教科書が並んでいた。私は何の躊躇もなく、すべてを購入し、米国ではよくある間接照明の薄暗い私のアパートの一室で、まるでおいしい食べ物のようにむさぼり読んだのを今でも覚えている。中でも、私にとって新鮮だったのはRakelの第一部、Principles of Family Medicineの部分であった。患者中心の医療をはじめ、今までの日本の医学教育で出会ったことのない総合診療に必要なさまざまな概念が克明に記されていた。そして、それらを一読し、今までの自分の世界とは異なったすごく広い世界に変わったようにも思え、感動した。その後の総合診療専門研修においては米国人専攻医たちと同じ土俵で研修を受けていると少しは感じられるようになった。そしてこの知識の基盤の上に総合診療研修をさらに受けるに従い、その米国で出会った総合診療が自分の能力として身についていくことが実感できた。

 日本に帰国後、私は、当時、医療面接や基本的臨床技能も医学教育に組み込まれていなかった日本の医学教育に直面し、これは大変なことだと焦った。そしてなにより、日本の「総合診療」が極めて情緒的であり、人によってその定義にかなりの違いがあり、米国で接した「総合診療」との隔たりに愕然とした。しかし一方で、米国の総合診療が、医療制度や文化が異なる日本でそのままでは使えないとも感じた。そこで私は、このRakelによる米国の総合診療の概念に日本の医療や文化に合致するような修正を逐次加えるようにして、自分の「総合診療」像を組み立ててきた。これまでの人生で、この教科書以外に、総合診療に係る事項すべてが記載されていて、しかもわかりやすく明確に書かれている総合診療の教科書にお目にかかったことがない。

 これまでプライマリ・ケアに夢と情熱を持った多くの若者たちには、このRakelを読むように勧めてきた。今回、エルゼビアの熱意が結晶化して、その訳本が完成した。Rakelがさらに読みやすくなったと考えられる。この本を手に取った皆様に是非とも熟読していただきたい。それだけの価値がある書籍である。この「Rakel総合診療テキスト」が皆様自身の「総合診療」そして皆様自身の「臨床医」を構築するうえでの大きな幹になることを切に祈っている。

竹村 洋典
注:本書では、family medicineの訳を「総合診療」としているが、これは厚生労働省の「専門医のあり方に関する検討会(2013年)」でこの分野の専門医名称を「総合診療医」とすることになったこと、また現在、日本専門医機構の基本領域専門医においても「総合診療」となっていることから、使用している。
略歴

早稲田大理工学部から1982年に防衛医科大に入学。1988年に防衛医科大病院等で総合臨床医学研修を開始、1991年に米国・テネシー大にて3年間、家庭医療レジデントとなり米国家庭医療専門医および米国家庭医学会フェロー取得。1995年熱帯医学フェロー。1998年から防衛医大病院総合臨床部・助手。2001年から三重大医学部附属病院総合診療科・准教授、2010年から三重大学大学院医学系研究科家庭医療学/医学部附属病院総合診療科・教授。2018年7月より東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科全人的医療開発学講座総合診療医学分野教授。三重大学名誉教授。2022年より東京都保健医療公社 多摩北部医療センター総合診療科 部長。

日本専門医機構総合診療医検討委員会・委員、認定更新部会長。日本医師会生涯教育推進委員会・委員。

米国家庭医療専門医・米国家庭医学会認定フェロー、日本内科学会認定総合内科専門医・指導医、日本プライマリ・ケア連合学会プライマリ・ケア認定医・指導医、日本医学教育学会認定医学教育専門家、日本混合研究法学会・監事。

米国家庭医療学会・研究優秀賞、日本プライマリ・ケア学会・学会誌優秀論文賞受賞。

日本プライマリ・ケア連合学会誌編集長、Asia Pacific Family Medicine Journal編集長。医学博士。

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